クジラやイルカの言葉とは?高度なコミュニケーション能力
AIがクジラやイルカの言葉を翻訳する最新研究
AIを活用した動物の言語解析は、ここ数年で急速に進化しています。
中でも注目されているのが、クジラやイルカの音声データをAIに学習させ、パターンを抽出する試みです。
例えば、ハーバード大学やMIT、カリフォルニア大学バークレー校などの研究者や技術者が協力して進めている非営利の研究プロジェクト「Project CETI」は、AIを使ってマッコウクジラのコミュニケーションの解読を試みています。
このプロジェクトでは、水中マイクロフォンや音響センサーを使用して高品質なマッコウクジラのクリック音を数千時間分収集します。
それをAIに解析させることで、音の組み合わせや繰り返しのパターンを特定しているのです。
それはまるで人間の単語や文法のような構造を持つ可能性があることがわかってきました。
初期段階ではありますが、AIがクジラ間で使われる特定のコードパターンを識別し、それらが特定の意味や情報を伝達している可能性が示唆されています。
参考資料:Project CETI公式サイト: https://www.projectceti.org/
関連ニュース記事:Scientists Are Trying to Talk to Whales. And They’re Using Artificial Intelligence to Do It:Smithsonian Magazine, 2021年4月
一方、イルカに関しては、AIを用いた音声分類システムが開発されつつあります。 これにより、イルカが発するホイッスル音が「個体識別」「警戒」「遊び」「狩猟」など、異なる目的で使われていることが明らかになっています。
さらに、一部の研究では、人間がAIを通じてイルカに特定の信号を送り、それに反応するかどうかを試す実験も進められています。
こうした研究が進めば、「AIを通じてクジラやイルカと基本的なコミュニケーションが取れる未来」が訪れるかもしれません。
参考資料:Janik, V. M., & Slater, P. J. (1998). “Context-specific use suggests that bottlenose dolphin signature whistles are cohesion calls.” Animal Behaviour, 56(4), 829-838.Hasan, M. R., et al. (2018). “Deep learning analysis of dolphin echolocation clicks for species and sub-species classification.” The Journal of the Acoustical Society of America, 144(4), 2531.
関連ニュース記事:「Artificial Intelligence Could Help Us Speak with Animals」- National Geographic, 2020年6月「Scientists develop AI to decode dolphin language」- The Guardian, 2019年9月
AIと動物コミュニケーション研究の未来
AI技術の進歩により、従来の方法では解読が難しかった動物のコミュニケーションパターンを解析することが可能になってきています。
これにより、人間と動物との基本的なコミュニケーションが実現する可能性が高まっています。将来的には、AIを介して人間から動物へメッセージを送り、双方向のコミュニケーションを確立することが目指されているのです。
関連ニュース記事:「Could AI Translate Animal Communication?」- BBC Future, 2021年7月「The challenges of decoding whale language」- The Economist, 2020年11月
まとめ
これらの研究やプロジェクトは、クジラやイルカの高度なコミュニケーション能力を解明し、人間が彼らと対話できる未来への第一歩となっています。AI技術の活用により、彼らの「言葉」を理解することが可能になるかもしれません。
※この記事の内容やリンク先は、2025年2月26日掲載時点の情報に基づいています。変更される可能性がありますのでご了承ください。