クマコロさんにお会いしたのは、クリエイターが集まるイベントでのことでした。「静物図鑑 ~食卓の静物と生態~」という一瞬「?」なタイトルと妙にリアルでどこかシュールな恐竜のイラスト。一見ポケモンのキャラクター「シャリタツ」のようにも見えますが、そこには「サーモンニギリス」の文字に見覚えのあるオレンジと白の縞々模様……そう、お寿司です! 次から次へと現れる愛くるしいキャラクターの数々に、気がつけば夢中になって図鑑のページをめくっていました。
人気クリエイター「クマコロさん」
クマコロさんは、かつては大手メーカーで玩具デザインをされていた経験をもつ、人気クリエーター。Twitterに「#多分私しかやってない 」のハッシュタグとともに「150カン以上の寿司の生態図鑑描いてる」と投稿すると、あっという間に12万件を超える「いいね」が寄せられ、話題となりました。
静物図鑑~食卓の静物と生態~
「静物図鑑」誕生のきっかけは2010年。当時、大学で広告デザインを専攻していたクマコロさんは、「食卓の生態系」と称して食卓にのぼる食器や食べ物を生物に見立てた図鑑を制作。そこには、いま注目を集めている寿司を恐竜に見立てた生物、通称「スシニギリス」もすでに含まれていました。「『万物に神が宿る』という考え方をベースに、 日常のちょっとした物事も角度を変えて観察してみると面白いというコンセプトで取り組みました」とクマコロさんは話します。
なぜお寿司なのか——
なぜお寿司なのか——。「ひとつは『生態系が作りやすいこと』です。わかりやすいモチーフのなかでさまざまな種類が存在する様は、 まるで動物の亜種や類似種のようでとても見立てやすいからです。 ふたつ目は『世界的に認知度が高いこと』。 生態のジョークや見立てに関して『わかる!』と共感を得やすいテーマだったのが理由です」
スシニギリスをデザインするうえでクマコロさんが大事にしているのは、「遠目に見て寿司に見える見立て」だと言います。 「ジョークだらけなのにどこか本当にいるかもしれない、とお子さんにも思ってもらえるような作風を目指しています」という言葉どおり、どのキャラクターも妙にリアルでありながら「かっこいい」と「かわいい」が共存する絶妙なデザインが目を引きます。
「日常の何気ない会話から発想が生まれることが多いです。 ニギリスに関しては、当時友人らと食事に行った際『ここにある食べ物が全部生態系だったら面白いね』となんとなく思ったことを口走ったのがきっかけでした」
サーモンだけでも「サーモンニギリス」「ヅケサーモンニギリス」「アブリサーモンニギリス」などさまざまな種類がいるほか、カリフォルニアロールをモチーフにした「カリフォルマイマイ」やバランを擬獣化した「スシバラン」などユニークなものも。「脂肪は大変甘く美味なため、捕食者を魅了して止まない」といった細かい設定が「本当っぽさ」を演出しています。
ちなみに、好きな寿司ネタを尋ねたところ、「見たことのないメニューを満遍なく頼むことが多いので全部好きなのですが、 イカ、エビ、イクラは特に好きです」とのことでした。
日本が世界に誇る和食の代表格「寿司」と時代を問わず子どもが大好きな「恐竜」を組み合わせるという奇抜なアイディアから生まれた空想の生き物「スシニギリス」。イラストだけにとどまらず、ソフビやヴィレッジヴァンガードとのコラボ企画として期間限定でTシャツやエコバッグ、キーホルダーにICカード入れなども販売されるなど、その人気ぶりはとどまるところを知りません。
今後の活動は?海!?~
最後に今後の活動について伺うと、「『生き物でないもの』を擬獣化するというテーマで図鑑を作ってきたので、たとえば海の生物と乗り物(機械)との融合などは面白そうだなと思います」と語ってくださいました。
ひとたび図鑑をめくればその魅力のとりこになる「スシニギリス」の世界に、皆さんも足を踏み入れてみませんか?
クマコロ/熊野ひぐまさん(@s_kumaco)
トイデザイナー、イラストレーター、漫画家。大手玩具メーカーで、男の子向けキャラクター玩具の企画、デザインを担当。現在はフリーのトイデザイナーとして活動するかたわら、熊野ひぐま名義 で漫画制作も行うなど多方面で活躍。
大学在学中に課題として制作した作品をベースにTwitterで「静物図鑑」を投稿し、大きな話題を集めている。
※このページの写真の著作権は全て「クマコロ」に帰属します。(無断転載禁止)
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