クラゲで納豆アレルギーになっているかも?

こんにちは。
みなさんは海水浴やサーフィンをしていて、クラゲに刺されたことはありますか?
実はクラゲに刺されたことがある方は、「納豆アレルギー」になっている可能性があるのです!
一見、クラゲと納豆アレルギー関係がなさそうに見えますが、一体どういうことなのでしょうか。

今回は、クラゲ毒と納豆アレルギーの関係性について解説していきます。

そもそもアレルギーとは?

 例えば「ハチは2回刺されると危ない」というのは有名ですよね?これは、1回目はハチアレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に取り込まれるだけですが、2回目になると免疫が学習して「このアレルゲンは身体にとって危ない!」と過剰に体が反応してショック状態になる可能性があるからです。

つまり、アレルギー反応が出るためには「同じ物質」に2回反応することが必要になります。

クラゲと納豆アレルギーの意外な関係

 一見無関係な「クラゲ」と「納豆」ですが、どちらも「ポリガンマグルタミン酸」(PGA)という物質が含まれています。
クラゲは標的となる生き物が触角に触れると、触角細胞の内部でPGAを産生します。PGAの浸透圧調節作用を利用して、超高速で毒針を打ち込むのです。
一方、納豆もあの特徴的なネバネバした部分にPGAが含まれています。そのため、他の大豆食品(しょうゆ・味噌・豆腐など)のアレルギーは合併しません。
つまり、クラゲに刺されたことがある方は「PGA」に一度反応していて、納豆を食べたときにPGAが吸収されると「納豆アレルギー」として様々な反応がでるのです。
実際、納豆アレルギーの70%の方はサーフィンなどのマリン・スポーツ愛好家の方に多いとされています。

納豆アレルギーの症状の特徴は?

納豆アレルギーは症状も特徴的です。
納豆アレルギーは主に「下痢」「嘔吐」「発疹(赤いブツブツのこと)」「息苦しさ」「鼻水」など様々な症状があらわれます。特には、意識消失やアナフィラキシーショックになることも少なくありません。

しかし、こうしたアレルギー反応は食べてから2時間以内に起こるのが通常ですが、納豆アレルギーの場合は半日程度(5時間~14時間)で症状が出現するのがポイントです。つまり、夕食に納豆を食べると、深夜や早朝に出るから特に危険といえますね。

これは、納豆に含まれるPGAの特徴によるもの。PGAは食べる時は高分子ですが、腸管に入ると微生物の作用を受けて、ゆっくりと分解されて低分子になっていきます。腸管吸収できるくらい低分子になるのに時間がかかるため、遅発性になると考えられているのです。

納豆アレルギーの対処法は?

 では、実際納豆アレルギーになったらどのような対処をすればよいでしょうか?

① すぐに救急車を呼ぶ

 特にアナフィラキシーショックにまで至った場合、なるべく早く「アドレナリン」を使わないと命にかかわります。時間勝負になるので一刻も早く救急車を呼ぶようにしましょう。

② 安静にする

 まっすぐ寝かせて、安静にするようにしましょう。あおむけだと吐いてしまった時に吐いた物が気管にはいってしまうかもしれないので、横向きのほうがよいでしょう。立ち上がったり、歩きまわらせたりしないようにしましょう。
呼吸が苦しくあおむけになれない場合は、上半身を起こし、寄りかからせるとよいでしょう。

② アドレナリン自己注射薬を使う

 もしも自己キットがある場合は、ためらわずに使用するようにしましょう。場所は太ももの前外側に使います。衣服は脱ぐ必要はありません。ぐっと押し込んで使用してください。

まとめ

 クラゲ毒と納豆アレルギーの関係性について解説していきました。
ちょっとでも「該当しているかな?」と感じたら、アレルギーを専門とする医療機関に相談してみるとよいでしょう。

※当記事は医師の執筆によるものですが、身体の健康を保証する目的の内容(監修記事)ではありません。記事の内容に該当するような事がありましたら、医師の診断を受ける事をお勧めいたします。