今密かにアツい!?水中ドローンって何ができるの?
水中ドローンってなに?
ここ数年、ドローンの話題をよく耳にするようになった気がしませんか? 遠隔操作で空を飛ぶ小型のヘリコプターみたいなアレです。最近では、趣味としての動画撮影だけでなく、農薬散布や物資輸送など産業分野への活用も進んでいます。
ところで、ドローンはドローンでも「空を飛ばないドローン」があるのを知っていますか? それは、「水中ドローン」です。水中ドローンとは、水中を潜水して航行可能な小型無人機の通称で、船上や陸上から遠隔操作によって機体の操縦を行うことができます。
水中ドローンにできること
水中ドローンは趣味や娯楽としての用途にとどまらず、ビジネスや学術調査、インフラ整備、防災など様々なシーンで活躍しています。
趣味や娯楽として水中ドローンを楽しむ人たちの中には、動画撮影だけでなく、釣りのサポートアイテムとして使用する人もいます。水中ドローンには魚群探知や餌やりができるものもあり、「竿を使用しないまったく新しい釣りのかたちを体験できる」と高い人気を集めています。
養殖業や漁業といった水産業では、これまで潜水士が行っていた魚の生育確認や台風などによる定置網の損傷具合の確認を水中ドローンで行うことが可能になりました。これにより、人手不足の問題が解消するだけでなく、撮影した動画や収集したデータの共有が容易になり、業務の大幅な効率化が図られました。
2021年11月には、三重県特産のアワビの餌となる海藻を食べ尽くすとして問題になっているウニを水中ドローンを使用して駆除する実証実験が行われ、国土交通省や造船会社、大学、地元の水産高校の生徒などが参加しました。
そのほか、河川や深海の生態系調査や珊瑚の学術調査、ダムや貯水槽、橋脚、海底ケーブルなどのインフラ整備。防災の分野では、災害前後の海底の比較調査でも大きな貢献をしています。
水中ドローンの課題
水中で人間の目や手の代わりとなって、水産や海洋に関する様々な問題を解決することが期待されている水中ドローンですが、さらに活用の場を広げるためにはいくつかの乗り越えなくてはならない課題があります。
なかでも最も早急な対応が求められるのは、水中ドローンに関する法整備ではないでしょうか。近年、空を飛ぶドローンに関する法規制は航空法を中心に整いつつありますが、水中ドローンはいまだ法令上その存在が考慮されていません。
「規制がないうちに、好き勝手にやってしまえ!」というわけにはもちろん行かず、ルールがないがためにビジネスへの活用が思うように進んでいないのが現状です。
それに加え、「電波やGPSが使用できない」「太陽光が届かず暗い」「濁っていて透明度が低い」「水流の影響を受ける」といった水中ならではの制約も多く、日進月歩の技術革新が行われています。
水中ドローンが支える漁業の未来
日本は「小さな島国」というイメージを持っている方も多いと思いますが、実は世界で6番目に広い領海と排他的経済水域を持つ海洋大国でもあります。しかし、国内の水産業は少子高齢化による労働力不足やインフラの老朽化といった多くの問題を抱えています。
海洋大国・日本が今後も持続的に発展していくためには、ITを上手に活用した「スマート漁業」の実現が求められます。そのための取り組みはすでに始まっており、水中ドローンはその中心を担う技術の一つとして注目されています。
このように水産業・漁業をはじめ、水に関わる様々な分野の今後の発展を支える水中ドローン。まだあまり一般には知られていない今のうちに、始めてみるのはいかがでしょうか? もしかすると、日本の未来を救う救世主になれるかも!?
画像提供:株式会社スペースワン