魚に心や感情ってあるの?

 突然ですが、あなたは魚が何を考えているかわかりますか?
「そんなのわかるわけないじゃん!」って思いますよね。たしかに犬や猫は一匹ずつ性格も違い、態度や表情から「眠そうだな」とか「怒ってるな」とかわかりますが、魚はどれも同じに見えるし、いつ見ても同じ顔をしている気がします。

 でも、もしかするとそれはあなたが魚を横から見ているからかもしれません。図鑑を見ても、スーパーの鮮魚売り場を見ても、魚はだいたい横向きです。魚の絵を描くときに、正面から見た絵を描く人はあまりいません。

 では、魚の顔を真正面から見るとどんなふうに見えると思いますか?
やっぱり無表情?個体によって違いはある?そんな疑問に答えてくれるのが、世界初だという魚を正面から撮影した写真集「うおづら」です。

世界初!?魚を正面から撮影した写真集「うおづら」
スイホウガン-UOZURA-うおづら

 大きなうちわのような胸びれをゆっくりと振るカクレクマノミ。
カメレオンのように左右の目を別々に動かすハリセンボン。
膨らんだ頬と寄り目が愛くるしいスイホウガン。

 どの写真もユニークで愛嬌たっぷりで、見ているときっと魚にも「うれしい」とか「さみしい」といった感情があるに違いないという気持ちにさせられます。今回は、この写真を撮影された水生生物写真家の森岡篤さんをご紹介します。そう、魚を正面から描く人はいないけど、正面から撮る人はいるんです。

 森岡さんと初めてお会いしたのは、クリエーターが集まるイベントでしたが、そこで見せていただいた魚たちの写真にすっかり心を掴まれてしまいました。

クロデメキン-UOZURA-うおづら
アベニーパファー1.5㎝-UOZURA-うおづら
魚とにらめっこ。一回5分の真剣勝負。

 この写真集を制作するために、森岡さんはご自身で表情の良い魚を選んで自宅に連れて帰ったそうです。最終的に飼育した魚の数は、なんと約150匹。水槽は6台を要したといいます。しかし、魚がいれば写真は撮り放題というわけではなく、ストレスを与えずに撮影できるのは一回に5分が限界とのこと。それ以上の時間をかけてしまうと魚が不機嫌になり良い表情をしてくれないためです。

 魚とにらめっこしながら、一回5分の真剣勝負。なかなか正面を向いてくれなかったり、「いまだ!」と思って撮影してもピンぼけしてしまっていたりと、撮影は困難を極めたといいます。「うおづら」で魚たちが見せる最高の表情は、毎日地道に魚の世話をしながらその時を待ち続けた森岡さんの執念が捉えた一瞬なのです。

 「どうやったらこんな写真が撮れるの?」と思わず口にしてしまう写真の数々に、気がつけば釘付けになっていること間違いなし。見たこともない魚たちの表情にきっとあなたも愛情を感じ、自然と笑みがこぼれるはずです。

ハリセンボン-UOZURA-うおづら
サラサランチュウ-UOZURA-うおづら
最後に

 魚たちも喜怒哀楽を感じながら、私たちと同じように日々を一生懸命生きているんだなと思わされる一冊。ひとたび目にすれば、あなたもきっと魚たちのトリコになってしまう森岡篤さんの「うおづら」をぜひ検索してみてください!

森岡篤氏プロフィール

-ATSUSHI MORIOKA-
森岡 篤 さん
フォトグラファー
1967年9月4日 三重県生まれ。

幼少期から魚好きで、20歳ころに東京タワー水族館に勤務。その後、写真に興味を持ち、コマーシャルフォトの世界に進む。1995年から水生生物専門の出版社ピーシーズでカメラマンとして魚の本作りをスタート。中南米や東南アジアの熱帯魚を現地で取材し、撮影した作品の数は日本の水生生物カメラマンの中でも群を抜く。

2017年より魚の顔の写真を撮り始め、「うおづら」として発表。SNSを中心に大きな反響を呼んでいる、いま注目の写真家である。

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